いいマンションを見つけたけど北向き。
買って大丈夫?後悔はしたくない。
こんな悩みに回答します。
北向きのマンションも南向きのマンションも住んだことがあります。
実は北側のマンションのデメリットのほとんどは、住まい方で解決できるものばかりです。
購入に悩んでいる方はこの記事を読めば、以下のことが分かります。
それではご覧ください。
一般的に言われる北向きマンションで後悔する理由
1. 家の中がジメジメする
北向きのマンションはジメジメすると言われます。
ジメジメの正体は湿度ですね。
結論からいうと除湿すれば大丈夫という話です。
ところでなぜ日当たりが悪い北側のマンションは湿度が高いか分かりますか?
実は日当たりが良くても空気中の水蒸気が勝手にどこかに消えることはありません。
水蒸気の量は北向きでも南向きでも同じです。
ではなぜ日当たりによって湿度が変わるかというと、温度が関係してきます。
一般的に言われる湿度は、相対湿度のことを指します。
相対湿度とは、空気中に含むことができる最大の水蒸気量のうち、実際に空気中に含んでいる水蒸気量のことです。
最大で10g/㎡の水蒸気量を含められる空気に5g/㎡の水蒸気量が含まれていたら湿度は50%ですね。
そしてこの10g/㎡という最大値は温度によって変わります。
一例を挙げると以下の通りです。
・11℃の空気の最大の水蒸気量は10g/㎡
・25℃の空気の最大の水蒸気量は23g/㎡
11℃のときは最大10g/㎡に対し5g/㎡の水蒸気量だと湿度は50%でした。
しかし同じ5g/㎡の水蒸気量でも温度が25℃になると最大23g/㎡に対し水蒸気量5g/㎡になるので、湿度は約22%です。
同じ水蒸気量でも温度が違うと湿度が違うことが分かると思います。
ここで本題に戻りますが、北向きのマンションがジメジメする理由は以下の通りです。
日当たりが悪い
↓
温度が低い
↓
湿度が高い
解決方法:ジメジメしたら除湿する
そもそもですが空気中の水蒸気量が多いときに、温度を上げるのは正しい対処法ではないはずです。
正攻法は水蒸気量が多いなら、水蒸気量を減らすことです。
実際に一部の高気密高断熱な戸建の世界では、ジメジメを解消して快適な空間にするためにエアコンや除湿機で除湿することが主流です。
北向きのマンションであっても同様ですね。
マンションは気密性が高く隙間から水蒸気が入り込むことも少ないですから、しっかりと除湿すれば効率的にジメジメを解消することができます。
ちなみに勘違いしている方も多いですが、以下の情報は間違いです。
空気を外に押し出すと、別のところから入ってきます。
つまり室内の空気を外に出しても、外気がジメジメしていればその空気が入ってくるだけです。
ここで再び結論ですが、北向きのマンションを買っても窓を開けずにエアコンや除湿機で除湿をすればジメジメすることはありません。
2. カビが生える
北向きのマンションはカビが生えやすいとも言われていますが、本当でしょうか?
「カビ対策マニュアル Q&A-文部科学省」を見てみましたが、カビの発生条件について「日当たり」「向き」などについての記載はありませんでした。
つまりマンションが北向きなことと、カビが生えやすいこととは直接関係がないことになります。
結論からいうとカビの原因も湿度です。
日当たりが悪い
↓
温度が低い
↓
湿度が高い
↓
カビが生える
解決方法:夏なら除湿、冬なら暖房
文部科学省の「カビ対策マニュアル」の【カビの発生しない環境づくり】には以下のように書かれています。
まずは相対湿度が65パーセントを恒常的に越えていないか監視してください。
カビ対策マニュアル Q&A-文部科学省
また次の記載もあります。
一般にカビの発生しやすい資料の場合、温度25度のとき、相対湿度が70パーセントだとカビは数か月で繁殖し、75パーセントを越すとその速度は急激に早まり、90パーセントではわずか2日で目に見える程度まで繁殖するといわれている[Michalski2000]。
「カビ対策マニュアル 実践編-文部科学省
どちらもカビが生えないようにするためには、相対湿度を下げることです。
相対湿度を下げる方法は以下のいずれかです。
- 空気中の水蒸気量を減らす
- 温度を上げる
つまり夏に湿度が高いなら除湿をし、冬に湿度が高いなら暖房をつけることです。
お風呂や使っていない部屋なら、ドアを開けっぱなしにしエアコンがある部屋と空間をつなげましょう。
湿度は夜中に上がりやすいですから、寝るときも空調を止めないことをオススメします。
年配の方だとエアコン嫌いの方もいらっしゃいますが、体に悪いです。
詳しくは総務省の「住宅の温熱環境と健康の関連」をご覧ください。
もしあなたが北向きのマンションを買おうか迷っているなら、カビで後悔しないためには北向きを買わないことではありません。
どの向きであっても湿度を監視し、対策することです。
南向きのマンションを買っても、高い湿度を放置すればカビは生えます。
3. 日が入らないため暗い
太陽は東から昇り南を通り西に沈みますから、北側のマンションは直射日光は入りません。
もし日当たりや明るさを最重要に考えたいなら、はっきり言って北向きのマンションは後悔するので買わない方がいいと思います。
しかし明るさを考えるのなら北向きかよりも考えるべきことがあります。
隣の建物との距離です。
たとえばここに2つのマンションがあったとします。
・目の前に建物が建っている南向きのマンション
・目の前に何もない北向きのマンション
実際に何件もマンションを見たので分かりますが、この2つのマンションのうち明るいのは「目の前に何もない北向きのマンション」です。
気になる方はぜひ内見に行ってみてください。
北向きであっても川沿いのマンションや景色の抜けているタワーマンションは結構明るいですよ。
北向きのタワマンを購入した友人は以下のように言っていました。
明るいよ。眩しいほどではないけど明るさは十分にある。
やはり周りの建物が影響するようです。
北向きのマンションを検討している方は周囲の建物の高さと距離を確認してみてください。
解決方法:電気をつけて明るくする
ところで日光って家に必ず必要なものでしょうか。
夜になれば家の中は電気をつけて過ごします。
暗くて不快だと思ったことはありますか?
暗いことはもちろんメリットではありませんが、具体的なデメリットってなんでしょうか。
・照明の電気代?
・テンションが下がること?
もし暗くて本が読めないだけなら、電気をつければ大丈夫です。
これだけで解決するなら大きな問題ではないでしょう。
しかし繰り返しますが「なんとなくテンションが下がる」「自然光での明るさは重要項目だ」という方は後悔するのでやめた方がいいと思います。
もし反対に「具体的に困ることはない」と考えられるなら、暗いことは大きなデメリットではないはずです。
4. 冬に寒い
北向きのマンションは直射日光が入りません。
太陽の力は偉大で日の差し込む家はそれだけで部屋が暖まるほどです。
たとえば私の住んでいた家のある日のある時間は、無暖房でこれだけの温度差がありました。
北向きの部屋 | 13.6℃ |
南向きの部屋 | 17.0℃ |
北向きが冬に寒くなるのは本当のようです。
解決方法:寒いならエアコンをつける
北向きのマンションが寒いのは南向きに比べて相対的にです。
「北向きだから我慢できないほど寒くて後悔している」
そんなことはないでしょう。
寒いならエアコンをつけるのみです。
南向きであってもエアコンはつけますから、違うのは電気代だけです。
その電気代の差は月いくらでしょうか。
仮に冬の一番寒い時期の3ヶ月間、電気代が2,000円高いとすると35年間で21万円の差です。
さらに夏場は南向きのマンションは暑く北向きのマンションは涼しいですから、夏の電気代は逆に安くなるでしょう。
そして電気代を気にするなら物件価格も気にしないとおかしいですよね。
あるマンションを調べたところ、向きによる価格差は以下の通りでした。
北向きのマンション | 約5,600万円 |
南向きのマンション | 約6,100万円 |
約500万円の差です。
この差を覆すほどの電気代はかからないでしょう。
結論、北向きのマンションでもエアコンをつければ寒くありませんし、物件価格を覆すほど電気代が高いこともありません。
ただし1つ注意点がありまして、平成4年より前の中古マンションは断熱性能が低いところが多いです。
そのためエアコンをつけても部屋が暖まりにくかったり電気代が高くなることがあります。
マンションの建築年は確認した方がいいでしょう。
5. 窓が結露する
南向きのマンションでも結露しますよね。
賃貸で住んでいるマンションやアパートは結露していないですか?
私が住んでいたマンションは南向きでしたが、寒い時期は毎朝結露していました。
現実には「北向きのマンションだと結露する」「南向きのマンションだと結露しない」という極端なことはなく、「どちらも結露するがどのくらい違うか」を考える必要がありそうです。
まず結露が発生する原因は窓が冷たいせいで空気中の水蒸気の飽和量を超えるためです。
発生する仕組みは以下にまとめました。
・25℃の空気には最大23g/㎡の水蒸気を含めることができます
・11℃の空気には最大10g/㎡しか水蒸気を含められません
・25℃の室内に15g/㎡の水蒸気を含んでいたとします
・窓際の空気の温度は11℃だとします
25℃で15g/㎡の水蒸気を含んでいた空気が11℃になると最大10g/㎡までしか水蒸気を含められなくなるため、超えた5g/㎡が液体に戻ります。
この液体が窓についたのが結露です。
空気が冷たいと最大で含められる水蒸気の量は減りますから、結露するかは窓際の空気の温度で決まります。
窓際の空気の温度は部屋の温度と窓の温度で決まります。
つまり結露しやすさの差は、北向きのマンションの窓と部屋の温度と、南向きのマンションの窓と部屋の温度の差です。
しかし結露が一番発生する明け方には日光は出ていません。
そのため温度差があるとすれば、日中に蓄熱した熱量の差ということになります。
日没から8時間以上経過した明け方に、それほどの差があるでしょうか。
北側の窓の方が結露しやすい事実はあるとしても、北向きを買わなければ結露を避けられるという簡単な話ではないように思います。
解決方法:窓に内窓をつける
解決策は窓の温度を上げることです。
寒い屋外と暖かい屋内の間に空気層を作り、窓が直接外の寒い空気に触れないようにします。
その結果窓の温度は上がり、以下のようなメリットを得られます。
・結露しにくくなる
・エアコンが効きやすくなる
特にこのような窓には内窓をつける効果が大きいです。
・アルミフレーム
・ガラス1枚(ペアガラスでない)
気になるお値段ですが、実際に見積もりをとったところ取り付け費込みで以下の金額でした。
大きい窓(高さ180cm〜200cm程度) | 7万円程度 |
小さい窓(高さ〜130cm程度) | 3万円程度 |
たとえば大きい窓2つ、小さい窓4つのマンションなら26万円程度です。
結露で後悔するからと北向きのマンションを諦めるくらいなら、現実的な出費ではないでしょうか。
ちなみに自治体の補助金もありますから、検討の地域名で「〇〇市 断熱 補助金」で検索することをオススメします。
まとめ:北向きのマンションで後悔する人しない人
住まい方で解決できるデメリットはお分かりいただけたと思います。
以上を踏まえて、北向きのマンションで後悔するのはこんな方です。
テンションや気分も家選びの大きなポイントですから、なんとなく嫌なら無理に北向きを選ぶ必要はありません。
また断熱性能が低い時代のマンションも気をつけた方がいいでしょう。
逆に以下の条件を満たすなら北向きのマンションでも後悔は少ないといえます。
上記のように北向きでも住まい方で解決できることは多いです。
また結露が嫌な人は北向き南向きに関係なく以下の対策が必要です。
・内窓をつける
・初めから二重サッシのマンションを買う
北向きのマンションでもそれ以外が気に入っているのなら、対策する前提で購入を検討してみてはいかがでしょうか。
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